腕・指先のしびれと痛みの鍼灸症例

来院日）令和６年１月１２日

患　者）４８歳男性

主　訴）左肩甲間部から上肢にかけての痺れと痛み

 

去年の１２月中旬ぐらいから、肩甲骨間部から上腕・前腕にかけて痺れと痛みが出るようになった。

 

起床時は、あまり症状が出ていないが、時間がたつにつれて辛くなってくる。

 

この症状は、以前もあった。

 

その時は、医師から「ヘルニアになりかけている」と、言われた。

 

今回は、知り合いの勧めで「鍼灸」を受けに来られた。

 

 

随伴症状）眼精疲労・下痢

 

施術と経過）

ベットに座ってもらい、頭を後ろに倒してもらうと肩甲間部と腕にしびれと痛みが増した。

 

これは、首の神経を圧迫する検査方法で、頚椎に異常があると反応が出る。

 

また、お腹の状態を調べると右の季肋部に圧痛がある。これは、「肝」の働きに問題が出ている事を表す。

⇒【東洋医学で考える肝の働き】

 

更に、首にある扁桃（扁桃病巣感染症）の反応もあった。

⇒【扁桃病巣感染症】

 

これらを改善するツボに鍼灸を行った。また、頚椎の施術を加えて第一回目を終了した。

 

自宅で、お灸をするように「やり方」と「ツボの場所」を伝えた。

 

■第二回目

前回、施術を受けた次の日から、背中の痛みが消失した。

しかし、相変わらず腕の痛みや痺れが残っている。

 

■第三回目

「少し良くなってきている」と、聞いた。

施術は、同じ。

 

■第四回目

第１～３回目までは、鍼灸院の玄関に入って来た時、首を傾けて「痛み」と「痺れ」を回避する動作をしていた。しかし、大分無くなっていた。

 

状態を聞いてみると、「痛みが無い日が増えた！」と、聞いた。

 

もっと状態が良くなるように、昔ながらの本格的なお灸のやり方も伝えた。

⇒【もぐさを捻るお灸のやり方】

 

■第五回目

痺れと痛みの具合を聞いてみると、「８５％ぐらい良い」と、聞いた。今日で、約１か月程経った。

 

施術は、継続中。

 

考　察）

扁桃（慢性口蓋扁桃）が弱っていると、頚部に緊張が強く出る。また、神経の腫れを助長する。

 

この扁桃にアプローチをした事・肝の働き（血液の配分）を調整した事により、頚部の緊張がほぐれ・血液の流れが良くなり、症状の改善につながったと思う。

 

頚椎からくる腕の痛み・痺れは、時間がかかる事が多い。

 

この男性の場合は、力仕事が多かったので改善するのに時間がかかると思っていた。

 

しかし、一ヵ月を過ぎる頃に「８５％ぐらい良くなった」と、聞いた。

 

これは、本人が自宅でも「お灸をしてくれた事」・「お酒をひかえた事」・「肩や腕に負担をかけないように仕事をしていた事」などが、良い結果につながったと思う。

 

※同じような症状でも、効果には個人差があります。

来院日）令和５年４月２３日

 

患　者）８５歳女性

 

主　訴）左腕と指先の痛みとしびれ

一ヵ月程前から、左肩から左腕・親指、人差し指に痛みとしびれを生じるようになった。

 

特に薬を飲む際に、上を向くと腕から指先にかけて上記の症状が現れる。

 

また、病院でレントゲン検査をしてもらったところ、医師からは「首は、歳なりの状態だね」と、言われる。

 

そして、かかりつけの病院で、注射を打ってもらった。しかし、痛みや痺れに変化がなかった。

 

娘さんの勧めで、鍼灸院に来られた。

 

施術と経過）

薬を飲む動作で痛みを生じるとの事だったので、優しく「スパーリングテスト」を行った。

すると、案の定、腕や指先に痛みとしびれが強く出た。

 

この事から、頚椎から出てくる神経が圧迫されて、腕や指先に「痛み」と「痺れ」が出ている事が分かる。

 

それから、脈の状態を確認すると、やや「交感神経緊張」がうかがえる。また、「腎」と「肝」の弱りを確認する。

 

これらが、この女性の回復を妨げる原因になっているので、それらを改善するツボと、首・肩のツボに鍼をして第一回目の施術を終える。

 

■第二回目

前回、施術を受けた後、「ちょっといいかな？」と、思った。

けれど、「すぐに同じ状態に戻った」と、お聞きする。

 

腕や指先のしびれが簡単に改善すると思われていたので、「神経の問題は、若い人でも数カ月かかかる事もある」と、伝えた。

 

症状の改善を促すため、自宅でお灸をするように勧めた。

 

■第三回目

「少し上を向けるようになった！」・「腕の痛みが楽になってきた！」と、お聞きする。

 

■第四回目

「良かった時と同じくらいの状態に戻った！」と、お聞きした。

そして、趣味でグランドゴルフをやっているけれど、「大会で優勝できた！」とも、聞いた。

 

考　察）

腕や指先の痺れなど神経の問題は、時間がかかる事が多い。

その為、３０代・４０代でも、症状の改善に３～４ヵ月かかる事もある。

 

こちらの女性の場合、８５歳という年齢を考えると、もっと時間がかかるかも知れないと思われましたが、約１か月で症状の改善がみられた。

 

 

特に「交感神経緊張」と「末梢神経障害」に効くツボが功を奏したように感じた。

 

※同じような症状でも効果には、個人差があります。