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自律神経失調症専門おかだ鍼灸院 

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鍼灸一筋のひとり言

東洋医学で考える「脾」について

【筆者】岡田 匡史(鍼灸師)

東洋医学の「脾」と西洋医学の脾臓は、似て非なるもの

脾臓

東洋医学系の鍼灸院では、脈診・腹診・手足のツボの反応から五臓(肝・心・脾・肺・腎)の何処に問題があるのか見つける作業をします。

 

その理由は、五臓に問題があると身体に不調を現すからです。

 

たとえば、

身体がだるい・食欲がない・下痢になる・不正性器出血が起きる・味覚がおかしいなど脾の症状です。

 

そこで、鍼灸師は、いろいろな方法で弱っている五臓(肝・心・脾・肺・腎)を見つけます。

 

そして、訴えている症状と合致するか検討し施術を行います。

 

しかし、患者さんは、脾が弱いと言うと「脾臓が病気ですか?」と、いう具合に不安になってしまう方もいます。

実は、東洋医学で言う「脾」と西洋医学で言う「脾臓」は、似ているけれど非なるものです。

 

今から200年以上前に杉田玄白が、オランダ医学の解剖書を翻訳して「解体新書」を発行しました。

 

これには、もともと日本で使われていた東洋医学の「五臓六腑」の名称を、オランダ医学の解剖書に当てはめて翻訳されました。

 

その結果、

「名前は同じだけれど、まったく同じ働きではない」と、いう混乱が起こるようになりました。

 

東洋医学で脾の弱りを見つける方法

五行色体表から見つける
東洋医学

東洋医学では、万物を木・火・土・金・水の性質に分けました。

 

その分けた表を『五行色体表(ごぎょうしきたいひょう)』と言います。

 

この五行色体表は、五臓に問題が起きると『どのような症状が現れるのか?』教えてくれます。

 

例えば、

五行の性質でみると、脾は、『土の性質』があります。その為、五行色体表の『土』と書いてある縦のラインが、『脾』と関係のある事です。(※下記の図)

 

  • 五味の欄を見ると、『甘』という文字が書いてあります。これは、脾が弱ると甘い物が食べたくなるという事です。もし、無性に甘い物を欲している時は、脾の弱りがあります。
  • 五液の欄を見ると、『涎(よだれ)』という文字が書いてあります。これは、脾が弱ると涎(よだれ)が出るという事です。もし、涎を垂らして寝ている事があれば、脾の弱りがあります。
  • 五変の欄をみると、『噦(えつ)』という文字が書いてあります。これは、脾が弱ると、しゃっくりが出る事を教えてくれます。
五行色体表
五行
五臓
五腑 小腸 大腸 膀胱
五味
五液
五変
五季 土用
五志
五根
五色

 

このように、身体に現れた症状から『脾』の弱りを見つける事ができます。

 

お腹で見つける方法

東洋医学では、お腹の反応から五臓の弱りを見つける事ができます。

 

本来、赤ちゃんのようにふっくらしたお腹が、健康的なお腹とされています。

 

しかし、多くの方は、シコリのように硬くなっていたり・グニャグニャと柔らかくなっていたり・みぞおちが硬く、下腹部が軟弱の方などがいます。

 

これらは不健康なお腹です。

 

そして、脾の弱りは、『お臍(へそ)』がポイントです。

脾の弱りはお臍に現れる

お臍周りを指腹で軽く押した時に、『硬くなっていたり』・『強い拍動を触れる』ようであれば、脾の弱りがあると考えられます。

 

東洋医学で考える「脾」の働き

消化・吸収の働きがある

東洋医学では、『脾は運化を主る』と言われます。

 

これは、食べた物を消化・吸収し、栄養やエネルギーを体全体に運ぶ働きです

 

この働きが悪くなると『下痢になる』・『食欲がない』・『お腹が張る』・『倦怠感が出る(特に手足)』・『浮腫みが出る』・『痩せる』などの症状が現れます。

 

栄養やエネルギーを上方(心・肺・頭部)へ運ぶ働きがある

脾には、昇清作用(しょうせいさよう)と呼ばれる働きがあります。これは、吸収した栄養やエネルギーを体の上方(心・肺・頭部・顔面)へ送る作用です。

 

この働きは、内臓を正常な位置に保つ働きもあります。

 

脾が弱ると昇清作用が低下し、頭に栄養が行き届かなくなるので『めまい』がしたり・内臓の位置を正常に保てないので、『脱肛・胃下垂・子宮脱』などの症状が現れます。

血管から『血』が漏れ出ないように働く

脾には、統血作用(とうけつさよう)があります。

 

これは、血液が血管から漏れ出ないようにする働きです。

 

ちょっとぶつけただけで、皮下出血をしやすい方・婦人科疾患がないのに不正性器出血を起こす方・血便・血尿が出る方などは、脾の弱りがあるかも知れません。

脾は、『思い』と関係が深い

脾と関係のある感情は、『思』です。これは、五行色体表の『五志』に書いてあります。

 

この思は、『考えすぎ』・『思い過ぎる』と脾が弱るという事です。

 

たとえば、

まじめな受験生でしたら、合否が決まるまでは、食事が喉を通らない方もいると思います。

 

これは、考えすぎ・思い過ぎが原因で脾の働きが弱くなったからです。

 

逆に、脾が弱ってしまうと『考え込んでしまう』・『思い悩んでしまう』事があります。

脾の鍼灸治療

  • 検査で問題がないけれど、食欲がなく痩せてしまった
  • めまいで薬を服用しているけれど回復しない
  • 不正性器出血で心配
  • 身体の倦怠感・食欲不振で、うつ病のように感じる

などの症状では、内科・耳鼻科・婦人科・精神科へ行くと思います。しかし、東洋医学からみると『脾』の弱りからくる症状の場合があります。

 

このような場合は、大元の『脾』にアプローチ(鍼灸治療)をして、症状の改善を促します。

【参考図書】

  • 東洋医学概論(医道の日本社)
  • わかりやすい臨床中医臓腑学(医歯薬出版株式会社)
  • 中医学ってなんだろう(東洋学術出版)

プロフィール

岡田匡史(おかだまさし)
1978年生まれ
経歴

1日400人以上来院する整形外科・都内の鍼灸整骨院で鍼灸の施術とリハビリを担当する。

取得国家資格

・はり師
・きゅう師
・あん摩マッサージ指圧師
・柔道整復師