【記事更新日】令和7年7月1日
私の鍼灸院には、食欲不振・腹部膨満感・胃もたれ・吐き気などの消化器系の症状を訴えて来られる事が多々あります。
その方達の中には、お腹を指腹で軽く叩くと『ポチャ・ポチャ』と水の音が聞こえてくることがあります。
本来、健康の方であれば、そのような音は聞こえません。
東洋医学では、このように胃の中に水がとどまっている状態を胃内停水(いないていすい)と呼びます。
これは、水毒(体内に余分な水が滞り様々な不調を引き起こす)の主な徴候です。
このような状態になっていると
などの症状が出ることがあります。
東洋医学では、食べ物を消化・吸収し、栄養と水分の運搬に五臓六腑の中の『脾』が関係しています。
その為、脾の働きが低下すると、胃で水分が停滞するようになります。
これを改善するには、脾に関わりのあるツボを使用して機能を高めることです。
陰陵泉は、足の太陰脾経(たいいんひけい)と呼ばれる経絡上にあり、脾につながっています。
すねの内側から膝上に向かって指腹で擦上し、骨がカーブしたところのガム状に硬くなっている所がツボになります。
足三里は、足の陽明胃経(ようめいいけい)と呼ばれる経絡上にあり、胃とつながっています。
外膝眼(がいしつがん)から、下3寸の位置にツボがあります。
ちなみに、外膝眼は、膝蓋靭帯の外側の凹です。
【参考】3寸は人差し指から小指までの幅
脾兪(ひゆ)は、第11・12胸椎棘突起間の間(脊中)から、1寸5分離れたところにツボがあります。
肩甲骨の下端のラインが胸椎の7番・8番の間付近になるので、そこから、棘突起を数えていくと正確な場所が分かります。
【参考】1寸は、親指の幅。5分は、親指の幅の半分。
脾兪と名前がついているくらいなので、『脾』と関わりのあるツボです。
胃内停水があり、胃もたれ・食欲不振・吐き気・腹部膨満感などの症状がある方は、『陰陵線』・『足三里』・『脾兪』にお灸をすると良いでしょう。