【記事更新日】令和7年6月4日
先日、患者さんに、鍼を刺して抜く時も『病態を考えて鍼を抜くので、微妙な技術の違いがある』ことをお伝えしたところ、『そんな違いがあったの・・』と驚かれました。
確かに、一般の方は、知らないと思うし、鍼灸師でもあまり考えずに鍼を抜いている方もいます。
私が高校生の頃、鍼灸整骨院で『はり治療』を受けた時は、アルバイトの学生さんが、院長(鍼灸師・柔道整復師)の指示で鍼を抜いていました。
それぐらい、鍼灸師でも気にしない方はいます。
しかし、鍼を抜く際も身体の病態を考えて抜くのと、何も考えずに取るのでは全く効果が異なります。
私の場合は、どのような考えで鍼を抜いているのかというと、補瀉(ほしゃ)を考えています。
例えば、
地面で考えると、穴が空いるところに土をいれて、平(正常)にする事が『補』になります。
逆に、地面が盛り上がっている場合は、有り余った土を取り除き平(正常)にする事が『瀉(しゃ)』になります。
このような事を身体に置き換えて、私は鍼を抜いています。
ちなみに、鍼で補法を行なう場合は、刺したところから気が漏れないように指で蓋(ふた)をします。
逆に、瀉法を行なう場合は、鍼を抜く時に刺したところから、気が漏れるように指で蓋をしません。
ちょっとした技術の違いですが、これにより効果が変わってきます。
例えば、
更年期障害の方は、逆上せがちで、足が冷えている事が多いです。
本来、健康の方であれば『頭寒足熱』で、頭が清涼で、足が温かい状態が良いとされています。
しかし、逆の状態になっています。
このような時は、頭に上っている余分な熱を瀉法の鍼で抜いてあげると、『スッキリ』する場合が多いです。
患者さんの病態をしっかり把握し、上手く補瀉できるように心がけて施術を行なっております。
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